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  • 執筆者の写真SMCaoba

ポリファーマシー(多剤の調剤・併用)

一人の患者さんが飲む薬の種類、数がとても多いと様々な問題が生じます。

ポリ(poly) ファーマシー(pharmacy) = ポリファーマシー(たくさんの調剤)


ある高齢の男性患者さんを例にして仮定してみると、

高血圧、糖尿病があって脳梗塞を患い、前立腺肥大症、それに白内障もあって肌が乾燥してカサカサ痒くて、腰と膝も痛いとします。

一人の患者さんが、基礎疾患(高血圧症、糖尿病)と合併症(脳梗塞)、更に加齢に伴う衰え(白内障、乾燥肌、骨粗鬆症、膝関節症)など複数を併せ持つことは日常茶飯事です。

すると、病院では内科または脳神経内科、泌尿器科、眼科、整形外科などを別々に受診して各々からお薬を1つ2つ処方されるだけでも、処方された薬の数は片手では数え切れず、

時には両手に余るほどの数になることがしばしばあり得ます。


具合が悪くて、その時は本当に必要だった薬ですが、状態が落ち着いたあとも中止されずに継続して処方されていたり、あえて中止しても状態の再燃、または中止したという先入観が表に出て患者さんが体調不良を感じたりと、内服薬が増える機会は多いのに減らすことは難しかったりします。(逆に、医師が内服が必要と思っても、薬は嫌いなので何とか頑張って良くしてみますと未治療が続いてしまう方もいますが)


病状に応じて薬の種類、用量などを変更することは本当は必要ですが、

他科・他院の処方内容まで注意が行き届かないことも現実にはあり得ます。


特別養護老人ホームわかたけ青葉に入所される利用者さん、在宅医療を新規で利用される患者さんもその前は、複数の科に受診してたくさんの種類の、数の薬を処方され内服している人が多いのが実情です。


施設入所、在宅医療開始後は、一人の医師(私)が処方することが殆どのため、各科の医師たちの処方を私が一手に引き継ぎ、要らないものを削り内服薬を減らす努力をすることになります。(さらに、飲みにくかった錠剤やカプセルを口腔内崩壊錠(OD錠)や顆粒に変更し、患者さんの内服の実情に合わせてもいきます)


たくさんの薬があることの弊害は、いくつもあります。

1.飲むのに大変

2.管理が大変

3.不適切な薬剤の組み合わせがあり得る(患者さんへの不利益)

4.忘れて(または意図的に)飲まない薬が生じて残薬が生じる(医療費の無駄)


患者さんの薬を把握するのに「お薬手帳」は大変参考になります。

逆に処方内容から、基礎疾患や病態をある程度推測することもできます。

処方された薬はきちんと飲む必要があります。

逆に自分としては疑問な薬、うまく飲めない、飲みたくない薬があれば、ぜひ医師に相談を持ちかけてください。患者さんから教えていただく情報は非常に大切なことが多いです。




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